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東海・北陸連携コンポジットハイウェイコンベンション2015

CFRP産業の立上げ ~研究からビジネスのフェーズへ~

炭素繊維複合材料において北陸と東海地域が連携し世界的な拠点になることを目指す「東海・北陸連携コンポジットハイウェイ構想」のコンベンションが平成27年12月10日(木)~11日(金)、金沢市の北國新聞赤羽ホールで開催され、両地域の産学官関係者約400人が研究の動向や市場の展望に理解を深めました。

コンベンションには、主催側として金沢工業大学の石川憲一学長、石川県の谷本正憲知事、金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC)の鵜澤潔所長、名古屋大学特任教授・総長補佐・ナショナルコンポジットセンター(NCC)担当の石川隆司教授、岐阜大学複合材料研究センター(GCC)の三宅卓志センター長、石川県工業試験場の浅井豊樹場長、東海北陸地域の県知事代理他が出席し、来賓として経済産業省中部経済産業局の波多野淳彦局長、文部科学省科学技術・学術政策局の神代浩科学技術・学術総括官、東レ(株)の須賀康雄取締役の他、産業界からも多数のご参加をいただきました。

一層強力な連携体制に意欲(石川学長の挨拶)

初日、金沢工業大学の石川学長が主催者あいさつにおいて、昨年の11月にICC・NCC・GCCの3つのコンポジットセンターが連携協定調印をしてから現在までの活動を、ICCを中心に説明しました。ここでは、今年10月に現地ニーダーザクセン州知事と石川県谷本知事立会のもと、炭素繊維複合材料分野の先進地ドイツの「CFKバレー」と協力協定を結んだこと、フランスの「EMC2」とはICC、NCC、GCCと協力協定を昨年3月に結び、今年11月にフランスナント市で開催されたコンポジットミーティング2015へ東海北陸地域の企業7社とともに参加し、現地企業と相談したこと、国内ではICCと企業との共同研究を促進するための「メンバーシップ制度」を設け、現在17社、30名に参加していただき、アンダーワンルーフの機能を有するICCの見学者、研究者の入所も増加の一途をたどっていることを披露しました。このように国内外での連携が活発に行われ、また先端的な研究に加えて、欧州において先行する製造技術に関しては、国内への技術導入・普及にも注力し来年3月に三井物産からドイツ製RTM(Resign Transfer Mold)設備を導入することも明らかにし、これによって得られる知見は、東海・北陸地域の企業にとっても、利益となることが大であることを述べました。また「東海・北陸コンポジットハイウェイ」が研究者や技術者等の「人」、そしてシーズ・ニーズの「情報」が行き交うフィールドとして、研究開発や実装化の一層の進展を図り、当該エリアに世界に冠たる炭素繊維複合材料の一大生産拠点の形成が加速されるように、地域の産学官や関係機関の皆様とともに一層強力に連携体制を展開したいと意欲を述べました。

引き続き主催側のあいさつとして、石川県の谷本知事は、「東海・北陸連携コンポジットハイウェイ構想」は地方創生のモデルケースであり、日本の国際競争力強化にも資するとし「新たにドイツとの連携も活かし、一段の高みを目指したい」と意欲を示しました。

コンベンションの目的・概要について(鵜澤所長より)

来賓の挨拶のあと、今回のコンベンションの実行委員長であるICCの鵜澤所長から、今回の2日間にわたるコンベンションの目的・概要について下記の通り紹介しました。

ICC, NCC, GCCの3センターに加え、石川・福井・富山・岐阜・愛知・三重の公設試及び産総研がコンソーシアムを形成し、複合材料の研究開発はもとより、事業化の促進、国際競争力のある事業基盤を中部エリアあるいは日本につくることを目指し、昨年10月に名古屋大学で協定の締結をして約1年となった。

この「コンベンション2015」は1年目の活動であるとともに1年間の活動を報告する機会としている。母体はこのコンソーシアムであるが、主役は企業の方々、その企業に関係する大学など研究機関などの連携体であり、それらの方々に参加してもらえる2日間のコンベンションにしたい。今年のテーマは研究活動からビジネスにつなげ、産業の立ち上げを目指し、今回参加された方々の相互理解、ネットワークの形成をすることそして積極的な参加が成功につながる。

基調講演では、SAMPE、Global Technical DirectorのScott W. Beckwith博士が航空宇宙分野の複合材料と応用分野について現況を述べました。市場を航空宇宙分野、工業分野(自動車、エネルギー、治工具等)、一般消費(スポーツ等)に分けると工業分野が市場の75%を占め急激に増加していますが、特に2010年から2020年にかけて航空宇宙分野から工業分野にシフトし工業分野は5倍以上伸びることが予想され、その場合、製造工程における生産性が重要となり、プリプレグテープを積層する場合は1時間あたりに25kgまでを積層できることを示し、またRTMなどの型内重合においては30~120秒という短時間で硬化できることが示されました。これらの製造方法は航空機分野と自動車分野が良い方向に影響しあっているとのことです。

(国研)産業技術総合研究所創エネルギー研究部門の羽島浩章副研究部門長は、従来と異なる炭素繊維の製造方法を開発したと報告し、製造に必要なエネルギーを半減し生産性は10倍を目指すことにより、「21世紀をカーボンの世紀にするにはCFRPの生産量を現在の数百倍から数千倍にして金属と競合しなければいけない。」と述べました。

ICCが昨年10月に協力協定を結んだドイツの研究開発拠点「CFKバレー」のグナー・メルツ最高経営責任者(CEO)も講演し、「繊維と表面加工技術で最先端をいく日本と、機械技術に優れたドイツが組めばパーフェクトな関係になれる」と連携の意義を強調しました。

2日目は3つのカンファレンス、①「公設試による広域的なものづくりネットワークの形成について」、②「サプライチェーン構築に向けた垂直連携の取組について」、③「複合材料の製造技術、装置、材料について(製造業の立ち上げに対する情報提供)」をテーマに会場を交えてカンファレンスが開催されました。

その中でCFRTP(炭素繊維強化熱可塑性プラスチック)開発における最先端の加工機や検査機を各公設試で分担して購入し、県内だけではなく地域をまたがって遠隔地の中小企業でも利用できるネットワークを形成する事業として、経済産業省の補助事業である「地域オープンイノベーション促進事業」が紹介されました。

公設試の活動の取りまとめとしては、石川県工業試験場の浅井場長からは、各公設試が地域を超えて連携を深めるとともに互いに切磋琢磨し、日本の炭素繊維複合材料のより一層の発展に尽力する「金沢宣言」の表明がありました。

また、本田技術研究所、エアバスなど「川下」の企業からのニーズ、「川上」「川中」の企業の樹脂メーカ、プレスメーカからCFRTPのハイサイクル成形などの最新の技術動向についても討議されました。

期間中には赤羽ホールのホワイエにて、企業や公設試等39機関からパネル展示も出展され、会場ではカンファレンスの合間に1分間プレゼンテーションによりお互いの活動を共有することができました。1日目の終わりにはレセプションもあり、参加した各企業、各機関が垣根を超えて打ち解けたなかで交流を深めました。

コンベンションの最後に、来年の開催地であるGCCの三宅センター長が挨拶し、今回のコンベンションにて課題が明確になり、また連携の成功例や新しい技術の紹介もあり、企業間のオープン・マインドで連携することが不可欠であることを強調しました。東海・北陸コンポジットハイウェイをプラットホームとして活用して、来年は岐阜の地にて企業間の連携による成功例や実施例のいくつかを発表できるよう多くの人が集まってさらに連携の輪を広げていきたいと意欲が述べられ、2日間のコンベンションを閉じました。

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