革新製造技術
No.10連続成形プロセス(長尺プロファイル材)
~プレス方式の連続成形機の開発~
概要
TXM連続成形機~プレス方式の連続成形機~
炭素繊維複合材料と言えば、熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂が一般的に知られていますが、近年、短時間で成形可能な熱可塑性樹脂が注目されてきています。しかし、熱可塑性樹脂の成形は金型による加熱プレスが必要であり、本事業において目指しているインフラ構造に適用する大きな製品、特に長尺製品はプレス装置や金型が大型化し設備費用が巨額となる問題があります。
そこで生産性向上・低コスト化を目的として、長尺プロファイル材を連続して生産できるプレス方式の連続成形プロセスの研究開発を実施しました。
プレス方式による連続成形プロセスを確立するために、連続成形機を製作し、以下の研究に取り組みました。ターゲット品形状をC型チャンネル形状として、材料はPA6で実施しました。
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研究テーマに挙げたプロセス
1.最終断面形状に近づけるように賦形するプリフォーム部の研究。
2.プリヒート(溶融)し、冷却駒でプレス成形するプレス成形部の研究。
3.連続成形動作の研究。
4.材料を供給するクリール部の研究 -
プリフォーム部
連続プレス成形品の品質向上を目的として、プレス成形する前工程で、最終断面形状に近づけるよう賦形させるプリフォームの最適な温度条件、加圧条件を研究しました。材料が十分に軟化し積層の層間同士が完全に密着していることが重要ですが、樹脂が溶けすぎると内部に空気がたまりやすいという事がわかりました。
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プレス成形部
多軸プレス機構1.プリヒート
最適な連続プレス成形の条件は、加圧力・加圧時間・加熱温度・加熱時間(サイクルタイム)により決まる為、加熱時間と材料温度変化の関係を調査し、適切な条件を導き出しました。2.プレス成形部
熱可塑性プリプレグの成形において品質を決める最も重要な条件の1つがプレス加圧部です。プリヒートで得られた結果をベースに、加圧力、加圧時間、プレス冷却温度の最適条件を研究しました。 -
連続成形動作
プレス方式の連続プレス成形においては、連続動作サイクルタイムが重要な要素になってくる為、上記のプリヒート結果とプレス成形結果を元に最適なサイクルタイム、連続動作を導き出しました。
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クリール部
研究を進めていく中で、繊維のヨレがそのまま成形されて強度に影響している事が判明した為、クリールを開発し、材料を張力制御することで、良い結果を得る事が出来ました。
曲げ強度が4%向上し、バラツキも75%減少しました。繊維のヨレも50%減少し、品質が安定しました。
TXMクリール部