ICCは、複合材料を適用する製品に応じて、材料開発、成形プロセス、評価・分析、エンジニアリングの相互連携を活用し、各分野間のサイクルを繰り返しながら適用技術研究を進めています。これら商品開発から製造に係る一連の技術分野をサポートすることで、迅速な課題解決および社会実装を実現します。
研究開発
技術研究
材料開発
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マトリクス樹脂
熱可塑性と熱硬化性の特徴を併せ持つ熱可塑性エポキシ樹脂の研究開発を進めています。熱可塑性エポキシ樹脂は、高靭性/高弾性率/高接着性などの優れた機械特性に加え様々な成形法への適用可能性を持っています。ICCでは、熱可塑性エポキシ樹脂などの現場重合熱可塑樹脂をマトリクスとしたコンポジットの適用研究にも取り組んでいます。
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繊維基材
FRPに用いる強化繊維基材は、高機能FRPに利用される連続炭素繊維のみならず、多種多様な基材形態があります。ICCでは、UDテープ材をベースとした積層材やチョップドテープ ランダム材の開発を進めています。チョップドテープ ランダム材では詳細な構造特性を明確にし、設計可能な材料としての適用を目指しています。
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複合化
繊維基材とマトリクス樹脂を複合化した材料であるFRPは、繊維材料とマトリクス樹脂の材料界面の接着強度がFRPの材料特性に大きく影響を及ぼします。そこで、プラズマによる表面改質や相溶化剤などのアプローチにより、界面の接着強度の向上への研究開発を実施しています。
評価・分析
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材料特性評価
ICCでは、材料や成形プロセスのさまざまな研究開発フェーズに応じて、JISやASTMなどの多くのコンポジット標準試験を実施可能です。迅速な材料物性評価を行うことで、研究開発を加速します。
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構造特性評価
FRPは、材料としての物性評価以上にサンドイッチや継手などの構造体スケールの評価が重要です。ICCでは、中規模スケールの部分供試体の試験が可能な大荷重試験機を備えています。
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非破壊検査
顕微X線CTや3D超音波探傷により、FRPの内部構造を詳細に評価することが出来ます。これらの非破壊検査技術は、材料物性特性や構造特性の解明に利用されます。また、位相イメージングなどの新たなX線CT技術を用いた繊維配向評価や空隙(ボイド)評価の新たな手法開発に取り組んでいます。
成形プロセス
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ダブルベルトプレス
ダブルベルトプレスを用いて、熱可塑性FRP積層板の連続生産プロセス、および製造装置システムの開発を進めています。シミュレーション/理論/実験により、基材への樹脂含浸メカニズムを解明し、これらのアプローチから製造プロセス/装置の最適化に取り組んでいます。
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プレス成形
熱可塑性FRPのプレス成形は、形状を成形するだけでなく、最終的な材料特性を出すための重要なプロセスです。加熱/加圧/冷却の一連のプレスプロセスに対して、センシング技術やAI技術などを適用し、インテリジェント化したプレス成形システムの構築を目指しています。
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連続成形
熱可塑性樹脂の高生産性を生かし、ロッド材の高速引抜成形技術を開発しています。高速引抜成形で生産された安価な熱可塑性FRPロッドのインフラ構造物への適用を進めます。また、高物性/高品質なCFRTP長尺構造材の生産を目指し、連続プレス成形のプロセス/装置の開発に取り組んでいます。
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RTM(Resin Transfer Moulding)
HP-RTMシステムを用いたHP-RTM/C-RTM/ウェットモールディングによる熱硬化性FRPの量産プロセス技術を研究しています。また、大型成形物などに適用されているVaRTMに対して、高品質成形品の生産プロセスの研究に取り組んでいます。
エンジニアリング
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フォーミング解析
繊維材料は金属材料と異なり大きな異方性特性を持ち、その変形が樹脂流動など成形性や強度などの構造に大きな影響を及ぼします。そこで、プレス成形や曲げ加工などの成形プロセスに対して、シミュレーションの適用評価を進めています。また、シミュレーションに用いるエンジニアリング物性値の取得技術の研究に取り組んでいます。
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流動解析
HP-RTMなどの樹脂流動成形法は、プロセス中の樹脂流動が成形品質に大きな影響を及ぼします。そこで、繊維基材内の樹脂流動をシミュレーションし、プロセス開発や繊維基材開発に適用しています。シミュレーションに用いるパーミアビリティ値の取得方法の研究に取り組んでいます。
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構造設計/解析
FRP構造の設計は、材料特性/成形法/接合/破壊メカニズムなどを考慮した設計が必要です。構造解析などを用いて、成形プロセスを考慮したコンポジットデザインを行います。また、フォーミングや流動解析との連成解析にも取り組んでいます。