道路やトンネル、橋梁は1960年代の高度成長期に急速に整備が始まり、今後一斉に更新時期を迎えます。超軽量、高強度で腐食にも強い革新複合材料による新たな工法が実現すれば、災害にも強く、維持費用が限りなくゼロに近い社会インフラが実現できます。さらには、軽量かつ高強度という革新複合材料の最大の特徴を活かし、高層建築や大型部材の一体成形による現場施工の工期短縮も可能です。
最大の特徴は、10年後の「活気ある持続可能な社会の構築」にむけて、「社会インフラ」「都市・住宅インフラ」「海洋インフラ」における今までにない革新的なアプリケーション(応用)を明確にした上で、そのために必要となる革新材料と革新製造プロセス技術の研究開発をアプリケーション実装研究と並行して進め、実現を目指すことです。
今後、ますます深刻化する少子高齢化社会の到来による限界集落(人口の50%以上が65 歳以上の集落)や独居老人の増加などへの対応が急務となっています。革新材料によりこのような社会の変化に対応して柔軟な設計が可能で、建設後も移設やリサイクルが容易です。
我が国は世界第6位の排他的経済水域を有します。日本近海は世界有数のメタンハイドレート埋蔵量を持つとされ、天然ガスの宝庫となっています。また洋上風力発電も我が国のエネルギー自給実現には欠かせない技術です。
ところが、現状では、深さ数km~6kmの規模となる深海域の掘削に必要な大型の長尺パイプや洋上風力発電に必要とされる大型のブレード(羽根)などの長大構造物を実現する技術はなく、軽量で高強度、耐腐食性(錆びない)を活かした革新材料の研究開発は必須のものとなっています。さらに、革新材料をタンカーなどの大型船に応用することで、大型硬帆による風力推進船も可能となります。